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「認定看護師」が廃止!?その理由は?そして、これからどうなる?

「認定看護師」が廃止!?その理由は?そして、これからどうなる?

看護師として働いている人なら「認定看護師」という言葉を聞かれたことがあると思います。職場からも取得するように勧められた人が多いのではないでしょうか。

しかし、この「認定看護師」という制度は廃止(終了)することが決まりました。その理由や今後、認定看護師に代わる制度があるのかどうか……について詳しくご説明します。

認定看護師とは?

認定看護師とは、1996年に日本看護協会が「特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践ができる認定看護師を社会に送り出すこと」を目的としてスタートした制度です。

それから20年間で認定看護師の数は19,835人(2018年8月22日現在)になっています。

認定看護師の特定分野

2018年現在で認定看護師の特定分野は下記の21分野があります。

  • 救急看護
  • 皮膚・排せつケア
  • 集中ケア
  • 緩和ケア
  • がん化学療法看護
  • がん性疼痛看護
  • 訪問看護
  • 感染管理
  • 糖尿病看護
  • 不妊症看護
  • 新生児集中ケア
  • 透析看護
  • 手術看護
  • 乳がん看護
  • 摂食・嚥下障害看護
  • 小児救急看護
  • 認知症看護
  • 脳卒中リハビリテーション看護
  • がん放射線療法看護
  • 慢性呼吸器疾患看護
  • 慢性心不全看護

認定看護師になるには

認定看護師になるには、次の条件を満たす必要があります。

  • 看護師として5年以上の実務研修があること
  • そのうち3年間は認定看護分野の実務研修であること
  • 日本看護協会が定める615時間以上の認定看護師教育を修了すること
  • 認定看護師認定審査に合格すること

また、認定後も5年ごとに資格の更新を行っています。

認定看護師の仕事内容

認定看護師は一般の看護師と同様に医療機関で看護師として働きます。

さらに認定看護師として、特定の看護分野で次の3つの役割を果たすこととなっています。

実践 個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する
指導 看護実践を通して看護職に対し指導を行う
相談 看護職に対しコンサルテーションを行う

この3つの役割を通して、看護の質の向上に努めます。

認定看護師制度が廃止になる理由

20年前から進められてきた認定看護師制度ですが、医療の発展に伴い既存の制度では対応しきれない場面が発生すると予想されました。

そこで、時代の変化に合わせてよりあらゆる場で看護を必要とする対象に高水準の看護実践を行える看護師を送り出し、看護ケアの広がりや質の向上を目的としているようです。

認定看護師制度は廃止ではなく再構築

認定看護師制度は完全に廃止されるのではなく、再構築されます。その背景には、医療を取り巻くさまざまな状況の変化があります。

認定看護師制度ができた当時の時代背景

認定看護師制度ができた1996年当時は医療の高度化や細分化が進められていました。医療の進化はめざましいものがあり、医師だけでなく看護師にも最新の医療知識や技術が求められていたのです。

また、診療科目が細分化され、看護師も専門性が求められるようになりました。そこで、特定の看護分野で熟練した看護技術や知識で水準の高い看護実践ができる看護師を送り出すために認定看護師の制度が誕生しました。

今後の医療現場

その後、医療の技術は進化し、日本人の平均寿命は1996年の男性77.01歳、女性83.59歳が2017年には男性81.09歳、女性87.26歳にまで伸びました。そして、これからは「超高齢化社会」を迎えようとしています。

2025年には国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という「超・超高齢社会」となり、継続的な治療を要する慢性疾患患者が増えること、高齢化に伴う多死社会になることなどが予測され、これらは「2025年問題」と呼ばれています。これからは医療だけでなく介護のニーズが高まり、医療機関だけでなく介護施設、地域、在宅など多くの場で医療が求められるようになります。
それを見すえて、現在の認定看護師制度を再構築することになったのです。

認定看護師制度が廃止になった後はどうなる?

認定看護師という制度はなくなりますが、より時代の状況に則した内容で再構築されます。日本看護協会では2025年の「少子・超高齢化・多死社会」に向けて、「いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護」を掲げています。

今後は特定行為研修を実施

日本看護協会では2015年度から認定看護師を対象とした「特定行為研修」を実施し、あらゆる場でのニーズに応えられる認定看護師の養成を目指しています。

特定行為研修とは

特定行為研修は、看護師が手順書によって特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力や判断力と高度かつ専門的な知識と技能の向上を図るための研修です。各特定行為区分ごとに研修を行います。

特定行為とは

特定行為は診療の補助のことで、次の38行為のことを指します。数が多いですが、ご紹介します。

なお、いずれも「医師の指示のもと、手順書により下記の行為を行うこと」とされています。

  • 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整
  • 侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 非侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整
  • 人工呼吸器からの離脱(ウィーニング)
  • 気管カニューレの交換
  • 一時的ペースメーカの操作及び管理
  • 一時的ペースメーカリードの抜去
  • 経皮的心肺補助装置の操作及び管理
  • 大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整
  • 心嚢(のう) ドレーンの抜去
  • 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更
  • 胸腔ドレーンの抜去
  • 腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された 穿 せん 刺針の抜針を含む)
  • 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
  • 膀胱ろうカテーテルの交換
  • 中心静脈カテーテルの抜去
  • 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入
  • じょく瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
  • 創傷に対する陰圧閉鎖療法
  • 創部ドレーンの抜去
  • 直接動脈穿刺法による採血
  • 橈(とう)骨動脈ラインの確保
  • 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析 濾 ろ 過器の操作及び管理
  • 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
  • 脱水症状に対する輸液による補正
  • 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
  • インスリンの投与量の調整
  • 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整
  • 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
  • 持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整
  • 持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
  • 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
  • 持続点滴中の利尿剤の投与量の調整
  • 抗けいれん剤の臨時の投与
  • 抗精神病薬の臨時の投与
  • 抗不安薬の臨時の投与
  • 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整

(出典:厚生労働省 特定行為に係る看護師の研修制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000050325.html)

現行の認定看護師制度から新制度への移行

現在の認定看護師の教育と審査、新制度の以降のスケジュールは下記のように進められます。

認定看護師の教育機関の認定審査 2019年度で終了
認定審査後の認定看護師教育 2026年度で終了
新たな認定看護師教育機関の認定審査 2019年度から開始開始
新たな認定看護師教育 2020年度から開始

このように現行の認定看護師の教育機関の認定審査は2019年度で終了し、認定看護師に対する教育も2026年度で終了してしまいます。

一方、新しい認定看護師教育は2020年度から始まります。それに向けて教育機関の認定審査が2019年度から始まります。

現在の認定看護師はどうすればいい?

今後は新しい認定看護師制度に向けて、まずは教育機関の再構築が始まります。なお、現在の認定看護師と教育機関は新制度にスムーズに移行できるよう最大限の移行支援を行うとしています。

現在の認定看護師は特定行為研修を受講するように進め、履修科目なども整備されるようです。ただ、移行期間などに関してはまだ協議中のようなので、日本看護協会のホームページなどを確認するといいですね。

認定看護師を目指す人はどうすればいい?

日本看護協会では2017年から2020年の3年間は従来の認定看護師教育は実施されません。その代わりに上でもご紹介した特定行為研修の質の向上に力を入れています。

もし、今、認定看護師を目指すべきか迷っている人がいたら、この特定行為研修を受講されるといいでしょう。また、ややハードルは高いですが、専門看護師を目指す道もあります。

何事も移行時期は混乱が生じやすいものですが、しっかりと情報収集して自分の今後に活かしていきましょう。

認定看護師の廃止理由とこれからについて~まとめ

認定看護師の制度は1996年に日本看護協会が始めました。医療の高度化・細分化に対応できるよう、看護師も特定の看護分野において熟練した看護技術や知識で水準の高い看護を実践することを目的にしています。

約20年間で認定看護師の数は約19,000人になりました。

しかし、2025年の超・超高齢化社会に向けて再構築を進めることになりました。現段階は移行期間中で、認定看護師を対象とした「特定行為研修」を実施しています。

今後の動きに関しては日本看護協会のホームページなどで積極的に情報を入手するようにしましょう。

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